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糖尿病
糖尿病は、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が異常に高くなる病気です。
適切に治療をしないでいると、全身の血管がダメージを受け、脳梗塞や心筋梗塞、失明、腎不全、足の切断、がん、認知症など、さまざまな深刻な合併症を引き起こしかねません。
※ここでは生活習慣病が影響して発症しやすい2型糖尿病について取り上げています。
血糖値が高い状態が長い間続くと…
血糖値を適切にコントロールしていれば合併症は起きにくく、たとえ発症したとしても進行が遅いということがわかっています。
健康的な生活習慣や治療で、血糖値を正常に保つようにしましょう!
糖尿病の合併症
脳梗塞、心筋梗塞
動脈硬化が進行すると、脳梗塞、心筋梗塞などの命にかかわる病気の発症につながります。糖尿病があると、心筋梗塞のリスクは数倍高くなるといわれています。
末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)
手足の動脈硬化によって末梢動脈疾患や足病変(足壊疽など)になると、ひどい場合は足を切断せざるを得ない場合もあります。
糖尿病網膜症
網膜には細い血管が広がっています。これが障害を受けると網膜出血や網膜剥離を起こしたり、硝子体出血を起こしたりして、視力が低下したり失明したりすることがあります。
糖尿病腎症
腎臓の細い血管が障害を受けると、腎機能が低下します。初期は無症状のことが多いのですが、進行するとむくみなどの症状が出てきます。末期腎不全に至ると「透析療法」が必要になります。透析療法は医療費が高額なため、重症化を防ぐことが社会的にも課題となっています。
糖尿病神経障害
神経細胞がダメージを受けると、合併症に気づきにくく、重篤になる場合があります。しびれや痛み、感覚がなくなるといった感覚異常のほか、胃腸運動の異常、心臓や血圧調節の異常、手足の運動神経や、眼・顔面の異常などを起こします。
がん
糖尿病がある人は、糖尿病がない人と比べて1.2倍がんを発症しやすいと報告されています。
発症リスク(糖尿病と癌に関する合同委員会報告2013)
● 肝臓がん…約2.0倍
● すい臓がん…約1.9倍
● 大腸がん(結腸がん)…約1.4倍
そのほか、膀胱がん、子宮内膜(子宮体)がんも発症リスクが高くなる傾向があります。
認知症
糖尿病がある人は、認知機能が低下しやすく、認知症を発症しやすいことがわかっています。糖尿病がない人に比べて「アルツハイマー型認知症」は約1.5倍、「脳血管性認知症」は約2.5倍発症しやすいといわれています。
歯周病
糖尿病があると免疫の働きが悪くなり、歯周病を発症しやすく、また悪化しやすくなります。一方、歯周病があるとインスリンの働きが低下し、糖尿病を発症しやすくし、血糖値のコントロールが悪くなります。
うつ病
糖尿病があるとうつ病になりやすいと考えられています。うつ病になると、血糖値のコントロールが難しく、合併症のリスクが高くなります。
この検査項目に注意!
血液検査
● 空腹時血糖
保健指導判定値:100㎎/dL以上 受診勧奨判定値:126mg/dL以上
● ヘモグロビンA1c(HbA1c)
保健指導判定値:5.6%以上 受診勧奨判定値:6.5%以上
尿検査
● 尿糖
陽性(+)
重症化を防ごう!
肥満の解消
肥満があると、インスリンが効きにくくなります。BMI25以上の人は、まずは食事と運動で現在の体重の3%減量をめざしましょう。
● 適正体重:BMI 18.5~25
※BMI=体重(kg)÷身長(m)2
身体的活動を増やす
少し息が上がる程度のウオーキングなどを週に3回以上、合計150分以上行いましょう。またスクワットなどのレジスタンス運動※も1~3日おきに行います。
※レジスタンス運動…筋肉に負荷をかける動作を繰り返し行う運動。スクワットや腕立て伏せ、ダンベル運動など。
適正な食事
1日3食、ゆっくりよく噛んで食べましょう。血糖値が急に上がらないよう、野菜から食べることを忘れずに。
禁煙する
喫煙は血糖値を上げやすく、インスリンの働きを妨げます。
お酒は適量を
飲みすぎは血糖値のバランスを崩してしまうので危険です。
● 健診で治療が必要と指摘されたら、必ず受診し、治療を開始しましょう。
● 治療中の人は、症状がないからといって勝手に治療をやめてはいけません。医師の指示にしたがって治療を継続しましょう。
監修:国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター長 大杉 満