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「血糖負債」をためない生活術

健診の結果、血糖値が高めでも、「糖尿病ではないし自覚症状もないから」と放置していませんか?
「血糖値が高め」の状態が続くだけで、「血糖負債」がたまっていき健康を脅かすリスクになります。

健診の結果、HbA1cが5.6%を超えていたら血糖負債のリスクあり!

 できるだけ早く生活習慣の改善が必要です
※6.5%以上は糖尿病が強く疑われ、医療機関への受診が必要です。

血糖値を調べる検査「HbA1c」と「空腹時血糖値」は何が違うの?

健診では、主に2つの項目で血糖値を調べます
空腹時血糖値·····10 時間以上絶食した状態の血糖値
HbA1c··············過去1~2カ月の平均の血糖値

 

空腹時血糖値」は、採血時の血糖値を表すもので、採血前の食事などによって大きく変動します。一方、「HbA1c」は血液中のヘモグロビンがブドウ糖と結合してできた「糖化ヘモグロビン」の割合を調べる検査です。
高血糖である時間が長いほど糖化ヘモグロビンの量が増え、血液中に約4カ月間残るため、過去1~2カ月間の平均的な血糖レベルがわかります。

 

 

HbA1c が高めでも、 空腹時血糖値が正常範囲なら大丈夫?

「血糖値スパイク」にご注意を!
空腹時血糖値が正常範囲でもHbA1cが5.6%以上であれば、食後に血糖値が急上昇する「血糖値スパイク」に注意が必要です。血糖値スパイクは健診で発見しづらいのですが、血管にダメージを与えて動脈硬化の進行を早めます。空腹時血糖が正常でも安心せず、早めに生活習慣を改善しましょう。

血糖負債は早めに解消しよう

血糖値が高めの状態を放置すると、糖尿病を発症する手前の段階でも、全身の血管が傷つき動脈硬化が進行し、心疾患や脳卒中、認知症、がん、老化などのリスクが高まります。
血糖値が高くてもそれ自体には症状がないため、本人も気づかないうちに病気のリスクが蓄積することを「血糖負債」といいます。
借金が増えるほど返済が難しくなるように、血糖負債も蓄積するほど元に戻すのが難しくなるので、毎年健診を受けてHbA1c が5.6%を超えたら、早めの対策が重要になります。

 

GOOD! 今日からできる改善法

  • 改善法1 活動量アップ

    軽い運動でも、血流が改善し、ブドウ糖の消費が促されます。また、筋力トレーニングを行うと、余分なブドウ糖が筋肉で吸収されて血糖値が下がりやすくなります。
    食後に軽く体を動かすと、血糖値の急激な上昇を抑える効果が期待できます。

     

    -おすすめ改善法-
    ✅ 休日や在宅勤務の日も、買い物や散歩などで積極的に外出する
    ✅ 1日+1,000歩、スクワット・かかとの上げ下げなどで運動量を増やす
    ✅ 食後1 時間以内に15 分程度、ウオーキングや家事をして体を軽く動かす

  • 改善法2 血糖値の急上昇を防ぐ

    糖の吸収を抑える野菜やきのこ、海藻から先に食べると、血糖の上昇が緩やかになります。
    また、糖質が多く食物繊維の少ない精製された小麦粉や白米を、食物繊維やビタミン・ミネラルを多く含む未精製の穀物に置き換えるのも高血糖の予防に効果的です。

     

    -おすすめ改善法-
    ✅ 野菜(副菜や汁物)から先に食べる
    ✅ 炭水化物(主食)は、未精製の穀類(玄米や雑穀、ライ麦など)を取り入れる
    ✅ よく噛んで食べ、満腹になるまで食べない

  • 改善法3 肥満を予防・改善

    肥満になるとインスリンの働きが弱まるため、すい臓が疲弊してインスリンが分泌されにくくなり、血糖値が上がりやすくなります。
    肥満の人は現在の体重から3%以上減らすと、血糖値の改善が期待できます。

     

    -おすすめ改善法-
    ✅ BMI25、腹囲85㎝(男性)・90㎝(女性)未満を目標に
    ✅ 肥満の人は現在の体重から3~6カ月かけて3%減を目標に

  • 改善法4 十分な睡眠

    日中、普段よりも強い眠気を感じるときは、睡眠不足になっているかもしれません。
    慢性的な睡眠不足は体内時計を乱してホルモン分泌の異常を招き、食欲が増進したり、血糖値が上がりやすくなったりします。

     

    -おすすめ改善法-
    ✅ 睡眠時間は1日6〜8時間を目標に
    ✅ 休日もできるだけ同じ時間に起床し、朝日を浴び、体内時計のリズムを整える

監修:慈恵医大晴海トリトンクリニック所長 横山 啓太郎

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