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9割近い女性が不調を感じる「更年期」を乗り切るには

女性ホルモンは30歳代後半から低下しはじめ、40歳代後半になると一気に低下します。平均的な閉経は50歳で、閉経の前後10年間を更年期といいます。この間、急激なホルモン変化によって、9割近い女性が何らかの不調を感じるといわれています。

更年期障害の症状

更年期に現れる症状や程度は個人差が大きく「不定愁訴」と呼ばれるほどさまざまです。身体症状では頭痛や肩こり、精神症状ではイライラや倦怠感などの症状が現れます。
また、更年期は、女性ホルモンで守られていた病気が芽を出しやすい時期でもあります。とくにコレステロール値や血圧が上昇しやすくなるため、年1回の健診で健康状態を確認することが大切です。更年期障害そのものを調べる検査は、オプション追加できる場合があります。

●更年期障害にかかわる健診オプション項目
 □「E2」(エストラジオール) …更年期に入ると分泌量が急減する
 □「FSH」(卵胞刺激ホルモン)…更年期に入ると分泌量が急増する

更年期を楽に過ごすセルフケア

更年期に現れる症状の程度には生活習慣も影響します。無理をせず、規則正しい生活を心がけるだけで症状が変わってきます。症状が悪化してから生活を変えるのは難しいので、できるだけ早めに健康的な生活を取り入れてみてください。

  • バランスのよい食事

    たんぱく質やビタミン、ミネラルなどを含んだバランスのよい食事が大切です。ただし、太りやすい時期でもあるので、糖分や油分が少ない和食中心の食事を心がけましょう。女性ホルモンに似た働きをもつイソフラボンを含む大豆製品もおすすめ。

  • 十分な睡眠

    更年期は体力や気力が低下し、疲れやすくなります。早寝早起きを心がけ、日中も疲れたら無理をせずに休むことを心がけましょう。

  • 適度な運動

    運動には血行促進、自律神経のバランスを整える、ストレス解消、ダイエットなど、更年期の不調を和らげる効果があります。ジョギングやウオーキング、水泳、ヨガなど、無理のない運動を習慣にしましょう。

  • 趣味や友人との会話など、気分転換

    同世代や更年期を経験した先輩と話したり、趣味で気分転換することも大切。また、苦手な人間関係から距離を置き、ストレスを感じにくい環境に身をおくことも大切な時期です。

更年期の不調、まずは婦人科へ相談を


更年期にはさまざまな症状が現れるため、症状別に複数の診療科を受診する女性が多いのですが、医療費がかさむばかりか、検査や薬が増えることによる心身の負担も懸念されます。
婦人科や更年期外来では、血液検査によるホルモン値測定のほか、子宮や卵巣などの状態も検査し、他の病気が関連してないかを確認します。更年期障害と診断された場合の治療には、主にホルモン補充療法や低用量ピル、漢方などが用いられます。

監修:都立大塚病院 女性総合外来 内科医師 那須 由美子

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